「どこまで経費にできるのか?」──個人事業主なら誰もが気になるテーマです。本記事では車・家賃・保険料・交際費など日常で発生しやすい支出を中心に、経費計上のルールと節税ポイントをわかりやすく解説します。読後には「これは経費?それともプライベート?」と迷うことがグッと減るはずです。
1. 経費の基本と全体像
税務上の経費とは、売上を得るために直接要した費用のことです。プライベート要素が混ざる場合でも、合理的な按分ができれば一部を経費とすることが可能です。代表的な科目と概要を下表にまとめました。
科目 | 主な内容 | ポイント |
---|---|---|
車両費 | 車両本体・ガソリン・保険・車検 | 事業使用割合で按分 |
地代家賃 | 店舗・事務所家賃、自宅兼用部分 | 床面積や使用時間で按分 |
保険料 | 事業用自動車保険、事務所火災保険など | 対象資産が事業用か |
交際費 | 取引先との飲食・贈答 | 5,000円以下の飲食なら領収書でOK |
減価償却費 | 10万円超の資産 | 耐用年数と定率or定額 |
2. 車関連費用(車両・ガソリン・高速代など)
2-1. 車両本体
購入価格が10万円超の場合は固定資産として登録し、耐用年数に応じて減価償却します。中古車は一定条件で短い耐用年数を選択できるため、節税効果が早く現れることも。
2-2. ガソリン代・高速料金
ガソリンカードやETCの利用明細で走行距離按分を行うと税務署への説明がスムーズ。例えば、年間走行距離のうち70%が事業目的であれば、ガソリン代の70%を経費計上できます。
2-3. 自動車保険・車検・自動車税
支払時点で全額経費化できますが、事業使用割合で按分する点は同様です。
3. 家賃・自宅兼事務所の按分方法
自宅の一室を事務所として使う場合、使用面積率 × 家賃を経費化できます。水道光熱費・通信費も同じ考え方でOK。按分根拠(例:間取り図に色付け、使用時間記録)を残しておくと安心です。
4. 保険料はどこまでOK?
火災保険・業務災害保険など事業資産に紐づく保険は経費計上可。医療保険や生命保険は基本的に経費不可(所得控除の対象)なので注意。また社会保険料は必要経費ではなく所得控除として扱います。
5. 交際費・接待費の判断基準
飲食費は1人あたり5,000円以下かつ保存要件を満たせば領収書でOK。超過する場合は取引先・日時・目的を出金伝票に記録しましょう。贈答品は相手先名と目的を帳簿に明記します。
6. 高額資産は減価償却で賢く
パソコン・カメラ・什器など10万円以上、かつ耐用年数1年以上の資産は減価償却が必要。30万円未満なら少額減価償却資産の特例で一括経費化(青色申告・年間300万円まで)も。
7. 消費税で損しない仕入税額控除
免税事業者でもインボイス制度(2023年10月〜)以降は注意が必要。課税事業者を選択する際は、売上に対する納税額と仕入・経費に含まれる消費税をトータルでシミュレーションしましょう。
8. ミスしない帳簿付け&証憑管理
- クラウド会計を活用し、銀行口座・クレカを自動連携
- 領収書はスマホ撮影で電子保存
- 科目分類を年間で統一し、検索性を高める
- 月次で試算表を確認し、黒字・赤字を把握
おすすめツール
freee会計・マネーフォワードクラウド・弥生オンラインを比較し、自分に合ったものを選びましょう。
9. よくあるQ&A
Q1. 家族が運転する自家用車のガソリン代は経費になりますか?
A. 事業使用実績があれば按分計上できます。走行記録を残しておきましょう。
Q2. 仕事とプライベートが混在するスマホ料金は?
A. 通話履歴やデータ使用量から事業利用分を算出し按分できます。
Q3. 出張時の食事は交際費?旅費交通費?
A. 原則旅費交通費として計上しますが、取引先との接待が主目的なら交際費です。
まとめ
経費計上は「合理的な根拠」を持って行うことが最大のポイントです。グレーな支出も按分・記録・証憑を揃えることで、税務署への説明が可能になります。正しい経費計上で賢く節税し、事業資金を効率的に活用しましょう!