ふるさと納税とは
ふるさと納税は、自治体に対する寄附金を通じて、所得税と住民税の控除を受けられる制度です。寄付額から自己負担2,000円を除いた全額が翌年度の税金から差し引かれ、地域の特産品などの返礼品も受け取れるため、節税と社会貢献を両立できます。
目次
個人事業主・フリーランスが利用するメリット
- 節税効果:事業所得が高いほど控除額が大きくなるため、実質的なコストパフォーマンスが高い
- 資金繰りの柔軟性:年末までに寄付を済ませれば、翌年の税額を前もって下げられる
- 経理の簡便さ:寄附金は経費ではなく控除項目なので、仕訳は
事業主貸
等で処理するだけ - 地域貢献:返礼品を仕入れや贈答に活用すれば、取引先へのPRにも
上限額を計算する方法
控除上限額は総所得金額と扶養人数で変わります。以下の簡易式で概算できます。
控除上限額 ≒ (課税所得 × 住民税率10% + 所得税率 × 課税所得) ÷ (100% + 10%)
実務では下記手順が確実です。
- 前年の課税所得を確定申告書B 第二表で確認
- 所得税の税率(累進税率)と住民税10%を当てはめる
- 寄付予定額を超えない範囲でシミュレーター(ふるさとチョイス等)を利用
課税所得 | 控除上限額の目安 |
---|---|
300万円 | ~ 60,000円 |
500万円 | ~ 100,000円 |
800万円 | ~ 160,000円 |
1,000万円 | ~ 200,000円 |
※実際の上限額は控除対象外所得・社会保険料などで変動します。正確には必ずシミュレーターを。
ふるさと納税のやり方 ― 5ステップ
- ポータルサイトを選ぶ(例:ふるさとチョイス、楽天ふるさと納税、さとふる 等)
- 寄付先自治体と返礼品を決定(同一自治体は何度寄付しても可)
- クレジットカード・PayPayなどで決済(寄付日=決済日)
- 寄附金受領証明書または電子受領証明が届く
- 確定申告で控除を申請(またはワンストップ特例)
決済は12月31日 23:59までが当年控除対象。ギリギリは決済トラブルに注意。
確定申告での手続き
必要書類
- 寄附金受領証明書(紙 or 電子)
- マイナンバーカード(e-Taxの場合はICカードリーダー or スマホ対応)
- 確定申告書B・第一表/第二表(e-Taxなら自動入力)
仕訳・入力のポイント(青色申告)
事業主貸/普通預金
で寄付額計上(家事費と同様に経費化しない)- 確定申告書Bの寄附金控除欄へ寄付額を集計
- 住民税控除区分は「全額控除」を選択
2023年以降、電子データ(XML形式)で受領証明をアップロードすれば領収書の郵送保存は不要になりました。
ワンストップ特例制度
寄付先が年間5自治体以内で給与所得者等が対象。個人事業主でも確定申告義務がある場合は利用不可ですが、赤字の年などで確定申告を省略できるケースには有効。
提出書類
- ワンストップ特例申請書
- 個人番号確認書類(マイナンバーカード写しなど)
- 本人確認書類(運転免許証など)
提出期限は寄付翌年1月10日必着。郵送遅延に注意。
よくある質問(FAQ)
Q. 経費として落とせますか?
A. いいえ。寄付は家事関連費となり、損金算入できません。控除で取り戻しましょう。
Q. 事業所得が赤字でも控除される?
A. 所得税は控除しきれなくても、住民税から控除されます。ただし課税所得がゼロの場合、控除メリットは小さくなります。
Q. 住民税の控除タイミングは?
A. 寄付の翌年度6月~翌々年5月分の住民税から特例控除として差し引かれます。