はじめに
個人事業主として独立すると、健康保険は国民健康保険(国保)へ加入するのが一般的です。しかし保険料の計算方法は自治体ごとに異なり、「結局いくらになるの?」と不安に思う方も多いでしょう。そこで本記事では、国民健康保険料の仕組みと計算方法、加入手続きの流れ、さらに保険料を少しでも安く抑えるコツまでを解説します。
目次
国民健康保険とは?
国民健康保険(国保)は、会社員が加入する協会けんぽや組合健保に代わる地域単位の医療保険制度です。
対象となるのは以下のような方です。
- 自営業・個人事業主
- 退職して職場の健康保険を脱退した人
- パート・アルバイトで勤務先の健康保険に加入していない人
制度の運営主体は市区町村と都道府県で、保険料の税率・上限額・介護分が自治体ごとに設定されています。
保険料の計算方法
国民健康保険料は大きく分けて以下の4つの項目の合計です(2024年度基準)。
区分 | 計算方法 | 上限額(全国基準) |
---|---|---|
医療分 | 前年の所得割+均等割+平等割 | 650,000円 |
後期高齢者支援金分 | 所得割+均等割+平等割 | 220,000円 |
介護分※40~64歳 | 所得割+均等割+平等割 | 170,000円 |
合計(介護分なしの上限) | 870,000円 |
- 所得割:前年所得 × 所得割率(例:7.51%)
- 均等割:加入者1人あたり一定額
- 平等割:1世帯あたり一定額
例)東京都渋谷区・所得400万円・夫婦+子1人(介護分なし)の場合
医療分:[400万円 × 7.05%] + [均等割33,900円×3] + 平等割35,900円 = 約493,900円
後期高齢者分:[400万円 × 2.29%] + [均等割11,800円×3] + 平等割11,500円 = 約132,700円
年間保険料: 493,900円 + 132,700円 = 626,600円
※実際には所得控除や端数処理があります。詳細は自治体の試算ツールで確認しましょう。
加入手続きの流れ
- 加入期限の確認:前職の健康保険喪失日の翌日から14日以内。
- 必要書類を揃える:
- マイナンバーカードまたは通知カード+身分証
- 退職証明書(任意継続をしない場合)
- 印鑑
- 市区町村の窓口またはオンラインで届出
- 保険証の受け取り:即日発行または後日郵送。
扶養の概念がないため、家族全員分の手続きが必要です。
保険料を安く抑える6つの方法
- 社会保険料控除を最大活用
確定申告で納付額を全額所得控除に。 - ふるさと納税で所得控除
課税所得を下げれば翌年度の保険料も軽減。 - 青色申告特別控除と小規模企業共済等掛金控除で課税所得を圧縮。
- 家族の国保合算を見直す
世帯分離や世帯統合で均等割・平等割を最適化。 - 減免制度の利用
事業赤字・災害・出産など一定条件で保険料が減額。 - 前納割引
年払い・半期払いで数百円~数千円の割引が受けられる自治体も。
よくある質問
Q1. 開業したばかりで所得が0円でも保険料はかかる?
均等割と平等割があるため最低限の保険料は発生します。ただし所得割が0円になる分、保険料は大幅に抑えられます。
Q2. 配偶者を扶養に入れられる?
国民健康保険に扶養の概念はありません。家族1人につき均等割がかかる点に注意しましょう。
Q3. 会社員の夫の社会保険に扶養で入った方が得?
年間130万円(106万円)未満の収入であれば扶養に入った方が保険料負担は0円になります。ただし事業所得の拡大を目指す場合は長期目線で検討を。