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[開業方法シリーズ]個人事業主のためのネットショップ開業マニュアル

あなたの「好き」や「得意」をビジネスに。夢のネットショップ開業を徹底サポート!

ネットショップ運営は、時間や場所に縛られずに自分のペースで働ける魅力的なお仕事です。しかし、その裏側には地道な作業もたくさんあります。成功するためには正しい知識と準備が不可欠です。まずは、その全体像を掴んでおきましょう。

すべての土台となる最も重要なステップ。「誰に、何を、どのように売るのか」を具体的に考え、お店の軸を定めましょう。

  • コンセプト:お店の強みや世界観を明確にします。
    【例】「北欧のヴィンテージ食器専門店」「働く女性のための時短ごはんキット」
  • ターゲット:どんな人に商品を届けたいか、具体的な人物像(ペルソナ)を設定します。
  • 事業計画:売上目標や必要な経費をざっくりと計算し、無理のない計画を立てます。

コンセプトに基づき、販売する商品を具体的に決めます。主な方法は3つです。

  • オリジナル商品:ハンドメイド品など、自分で制作したものを販売します。
  • 商品の仕入れ:メーカーや卸問屋、国内外の展示会などで商品を仕入れます。
  • ドロップシッピング:在庫を持たず、注文が入ったらメーカーから直接顧客に発送してもらう方法です。

ネットショップを開業するには、法的な手続きが必要です。知らなかったでは済まされないので、必ず確認しましょう。

開業届

個人事業主として事業を開始する際に、税務署へ提出します。節税メリットの大きい「青色申告承認申請書」も同時に提出するのがおすすめです。

許認可が必要な商品の例

  • 中古品:古物商許可(警察署)
  • 手作りの食品:食品衛生法に基づく営業許可、食品衛生責任者の資格(保健所)
  • 手作りの化粧品・石鹸:化粧品製造販売業許可(都道府県)
  • お酒:通信販売酒類小売業免許(税務署)

無許可での販売は法律違反です。自分の扱う商品に必要な許可がないか、必ず事前に管轄の役所へ確認してください。

どこに自分のお店を開くか、代表的な3つのタイプから選びます。

タイプ代表サービス特徴こんな人におすすめ
ASPカートBASE, STORES, Shopifyデザインや機能の自由度が高い。初期費用・月額無料で始められるサービスも多い。初めての人、ブランドの世界観を大事にしたい人、将来的に事業を大きくしたい人
ECモールAmazon, 楽天市場集客力が非常に高いが、手数料が高めで価格競争が激しい。集客に自信がない人、すでに知名度のある商品を扱う人
ハンドメイドマーケットminne, Creemaハンドメイド作品の販売に特化。クリエイターとファンが繋がりやすい。ハンドメイド作家

まずはBASEやSTORESなどのASPカートで始めてみて、事業が軌道に乗ったら本格的なサイトへ移行するのがおすすめです。

夢を現実にするためのお金の話。開業スタイルによって費用は大きく異なりますが、主に以下の費用がかかります。

初期費用 (0円~)

  • サイト開設費用(無料のサービスも多数)
  • パソコン、スマートフォン等の機材費
  • 商品の仕入れ代金・材料費
  • (必要な場合)許認可の申請費用、カメラなどの撮影機材費

運営費用(月額)

  • プラットフォーム利用料(月額無料~)
  • 販売手数料 (売上の3%~10%程度)
  • 決済手数料 (売上の3%前後)
  • 送料、梱包資材費、広告宣伝費など

選んだプラットフォームで、いよいよ自分のお店を作ります。お客様が実物を手に取れないネットショップでは、サイトの見せ方が売上を大きく左右します。

  • ショップデザイン:ショップ名やロゴを決め、お客様が買い物しやすいようにデザインを整えます。
  • ささげ業務:商品の魅力を伝えるための重要な作業です。
    • 撮影 (さ)…商品を魅力的に見せる写真を撮ります。
    • 採寸 (さ)…サイズを正確に測り、記載します。
    • 原稿 (げ)…素材や特徴、ストーリーなどを伝える商品説明文を作成します。

ショップをオープンしただけでは、誰にも気づいてもらえません。積極的に宣伝活動を行いましょう。

主な集客方法

  • SNS:InstagramやX (旧Twitter) で商品の魅力や制作の裏側を発信し、ファンを増やします。
  • Web広告:少額からでも始められるSNS広告やリスティング広告を活用します。
  • ブログ・SEO:商品に関連するお役立ち情報を発信し、検索エンジンからの流入を狙います。

開店してからが本当のスタート。日々の地道な運営が、お客様に選ばれ、愛されるショップを育てます。

フロント業務(攻めの業務)

売上を直接生み出す、お店の「表舞台」の仕事です。

  • 商品企画・管理
    新商品の企画、売れ筋商品の把握、商品ページの更新など。
  • マーケティング・集客
    SNSでの発信、Web広告の運用、メルマガ配信、ブログ作成など。
  • サイトの更新・改善
    セール情報の掲載、お客様レビューの紹介、商品説明の見直しなど。

バックヤード業務(守りの業務)

お客様の信頼を支える、お店の「裏方」の仕事です。

  • 受注管理
    注文確認、入金処理、お客様への連絡メール送信。
  • 梱包・発送
    商品の丁寧な梱包、納品書やメッセージカードの同梱、配送手配。
  • 在庫管理
    実在庫とデータ上の在庫数の確認、必要に応じた発注。
  • 顧客対応(CS)
    問い合わせ、返品、交換、クレームへの対応。
  • 売上管理・分析
    日々の売上計算、アクセス数や購入率のデータ分析。

特定商取引法に基づく表記

これは、消費者を守るための法律で、ネットショップ運営者は以下の情報をサイト内に分かりやすく表示する義務があります。

  • 事業者の氏名(または名称)、住所、電話番号
  • 販売価格、送料
  • 代金の支払時期、方法
  • 商品の引渡時期
  • 返品に関する特約 など

ポイント:個人事業主で自宅の住所や電話番号を公開したくない場合は、各プラットフォームが提供している非公開設定や、月額数千円で利用できる「バーチャルオフィス」サービスの利用を検討しましょう。

1️⃣ お客様目線で考え、改善し続ける
「商品説明は分かりやすいか?」「送料はすぐに分かるか?」など、常にお客様の視点から改善点を探しましょう。商品の魅力が伝わる写真と文章の追求は永遠のテーマです。

2️⃣ ファンを作る意識で、丁寧な顧客対応を徹底する
問い合わせへの迅速な返信や、心のこもった梱包、手書きのメッセージは顧客満足度を高め、リピーター(ファン)獲得に繋がります。

3️⃣ 豊富な決済手段を用意し、カゴ落ちを防ぐ
クレジットカード決済はもちろん、コンビニ決済やキャリア決済など、お客様が選びやすい決済方法を複数用意することが、購入直前の離脱(カゴ落ち)を防ぎます。

4️⃣ 数字を見て改善する(データ分析)
「どの商品が人気か」「お客様はどんなキーワードで訪問しているか」を分析し、品揃えや集客方法の改善に活かしましょう。多くのプラットフォームに分析機能が備わっています。

5️⃣ 業務をルーティン化する
「朝一番に注文とメールを確認する」「毎週月曜に在庫をチェックする」など、作業を習慣化することで、多岐にわたる業務を効率的に、抜け漏れなく進められます。

ネットショップの開業は、情熱と正しい知識があれば誰にでもチャンスがあります。最初から完璧を目指す必要はありません。まずは無料のASPカートでテスト的に販売してみるなど、小さな一歩から始めてみましょう。この記事が、あなたの夢を実現するための羅針盤となれば幸いです。