整理収納コンサルタントとは?
整理収納コンサルタント(または整理収納アドバイザー)は、個人宅やオフィスにお伺いし、お客様が抱える「片付けられない」「モノが溢れている」といった悩みを解決する専門家です。
単に物理的に片付けるだけではありません。お客様のライフスタイル、価値観、行動動線を丁寧にヒアリングし、「なぜ片付かないのか」という根本原因を分析します。その上で、リバウンドしにくい(元に戻りにくい)収納システムや、快適に暮らすための空間づくりを提案・サポートする、やりがいのある仕事です。
主な仕事内容
仕事内容は、お客様のご自宅で作業する「現場系」と、知識やノウハウをお伝えする「講師系」に大きく分けられます。
A. 個人向けコンサルティング(現場作業)
これが最も主要な業務です。以下の流れで進めるのが一般的です。
- ヒアリング(初回相談): お客様の悩み、家族構成、ライフスタイル、理想の暮らしを詳しく聞き取ります。オンラインまたは訪問で、お部屋の現状を把握します。
- プランニング(提案): 問題点を分析し、「どこに」「何を」「どのように」収納するか、具体的なプランと見積もりを提示します。お客様の「モノの持ち方」のクセや動線を考慮した、オーダーメイドの計画を作成します。
- 整理作業(モノの分類): お客様ご本人に、全てのモノを「要る」「要らない」「保留」に分けていただきます。コンサルタントは、捨てることを強制せず、お客様の意思決定をサポート(背中を押す)する役割に徹します。
- 収納作業(配置・ラベリング): 「要る」と判断されたモノを、プランに基づき、最も使いやすく戻しやすい場所(定位置)に収納していきます。収納用品の選定や買い物の代行・同行を行うこともあります。どこに何があるか分かるよう、ラベリング(見出し付け)を行います。
- アフターフォロー: 作業後、一定期間を経て使い勝手を確認し、必要に応じて微調整を行います。
B. その他の関連業務
- セミナー・講座の開催: 一般向けに「片付けの基本」「キッチンの整理術」といったテーマでセミナーを開催します。カルチャーセンター、自治体、企業(福利厚生)などから依頼を受けることもあります。
- オンラインコンサルティング: Zoomなどを使用し、遠方のお客様に画面越しでアドバイスを行います。
- メディア出演・執筆: 雑誌やWebメディアで収納テクニックを紹介したり、コラムを執筆したりします。知名度が上がると、書籍の出版やテレビ出演にも繋がります。
- 関連サービス: 新築やリフォーム時の「収納設計」を工務店や設計士と連携して行ったり、オフィスの書類整理やファイリングシステムの構築(法人向け)を行ったり、生前整理や遺品整理のサポートをすることもあります。
開業への5ステップ
整理収納コンサルタントとして開業するために必須の国家資格はありません。しかし、お客様の信頼を得てプロとして活動するためには、民間の認定資格の取得が実質的にスタートラインとなります。
ステップ1:資格の取得とスキルの習得
- 資格取得: 最も知名度が高く、スタンダードな資格は「整理収納アドバイザー」(NPO法人 ハウスキーピング協会)です。まずは2級(基礎理論)を取得し、プロとして活動するには1級(実践スキル)の取得が推奨されます。他にも「ライフオーガナイザー」(一般社団法人 日本ライフオーガナイザー協会)など、流派や考え方の異なる資格もあります。
- スキルの習得: 資格の勉強に加え、心理学(モノを手放せない心理)、空間認識能力、インテリアの知識なども重要です。
ステップ2:経験を積む(モニター募集)
- 資格取得後、いきなり高額な料金はいただきにくいものです。
- まずはご自宅の徹底的な整理収納を実践し、ブログやSNSで発信します。
- 次に、友人・知人宅を「モニター価格(または無料)」で片付けさせていただき、実績を作ります。
- 重要: この際、必ず許可を得て「Before/Afterの写真」を撮影します。これが後の集客活動で最強の武器となります。
ステップ3:事業計画の策定
- コンセプト設計: 「誰の」悩みを解決したいのか?(ターゲット層)を明確にします。(例:子育て中の忙しいママ、シニア世代の生前整理、在宅ワーカーの仕事部屋 など)
- サービス・料金設定: 時間単価制(例:1時間 5,000円~)や、パッケージ制(例:「キッチンまるごと 3時間パック 30,000円」)などを決めます。初回相談料、交通費、収納用品の買い物代行費なども検討します。
- 屋号の決定: 覚えやすく、サービス内容が伝わる名前を考えます。
ステップ4:開業手続き
- 個人事業主として活動するために、管轄の税務署に「開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)」を提出します。
- 同時に「青色申告承認申請書」も提出しておくと、税制上の優遇(最大65万円の控除)が受けられます。
- 事業用の銀行口座や名刺、契約書なども準備します。
ステップ5:集客活動の開始
- Webサイト・ブログ: 信頼の基盤となります。サービス内容、料金、プロフィール、実績(Before/After写真)を掲載します。「〇〇(地域名) 片付け」などで検索されるよう、ブログ記事(収納ノウハウ等)を書くことが有効です。
- SNS(特にInstagram): 整理収納は「ビジュアル」が命です。Before/Afterの写真や、美しい収納の様子(リール動画など)はInstagramと非常に相性が良いです。
- 提携・紹介: 工務店、不動産会社、引っ越し業者、インテリアコーディネーターなどと提携し、お客様を紹介してもらうルートを開拓します。
- 口コミ: お客様に満足していただき、「口コミ」で広げていただくのが最も強力です。
成功のためのポイント
- お客様への共感力: 片付けられないお客様を「上から目線」で指導するのではなく、悩みに寄り添い、共感する姿勢(傾聴力)が最も重要です。
- 専門性(ニッチ)の確立: 「〇〇専門」という強みを作ると、競合と差別化できます。(例:クローゼット専門、子どものおもちゃ収納専門、オフィスの書類専門など)
- 保険の加入: 万が一、お客様のご自宅で作業中に高価なモノを壊してしまった場合に備え、「損害賠償責任保険」に加入しておくことを強く推奨します。










