この記事では、「個人事業主が法人成りするべきか?」と悩む方へ向けて、判断の目安となるタイミング、法人化のメリット・デメリット、そして実際の手続きフローをまとめています。
目次
法人化を検討すべきタイミング
- 年間利益が800万円を超えたとき(所得税より法人税の方が有利になるケースが多い)
- 取引先から「法人格」を求められ始めたとき
- 従業員を雇い社会保険加入を視野に入れたとき
- 事業承継を見据え資産を分けて管理したいとき
- 外部資金調達(融資・投資)を検討するとき
法人化のメリット
メリット | 解説 |
---|---|
節税効果 | 所得分散や経費計上範囲の拡大により税負担を軽減できる可能性 |
社会的信用の向上 | 法人格により取引先・金融機関からの信頼が高まりやすい |
資金調達の多様化 | 金融機関融資や投資家からの出資を受けやすくなる |
事業承継のしやすさ | 株式の譲渡によりスムーズに事業を引き継げる |
有限責任 | 出資額以上の個人資産が原則として責任を負わない |
法人化のデメリット
デメリット | 解説 |
---|---|
設立・維持コスト | 登録免許税や公証人手数料、毎期の法人住民税均等割など固定費が増える |
事務負担の増加 | 決算書類の作成・公開義務、社会保険の手続きが必要 |
赤字でも課税 | 均等割により赤字でも最低年7万円(東京都の場合)が課税 |
利益の私的流用制限 | 会社のお金=社長のお金ではなくなり、私的流用は損金算入不可 |
法人化の手続きフロー
- 会社形態の決定(株式会社・合同会社など)
- 定款の作成と認証(発起人の決定、目的・商号・本店所在地の確定)
- 資本金の払込(発起人の口座へ入金)
- 設立登記申請(法務局で登記:登録免許税は株式会社=資本金×0.7%または15万円)
- 税務手続き(法人設立届出書、青色申告承認申請書などを税務署へ)
- 社会保険・労働保険加入
- 銀行口座・クレジットカード開設
- 許認可の取得・各種変更届(業種による)
書類作成や税務相談に不安がある場合は、商工会議所や税理士に早めに相談しましょう。
よくある質問
Q. 法人化すると社会保険は必須ですか?
A. 従業員を雇わなくても、社長1名でも原則加入義務があります。
Q. 合同会社と株式会社はどちらが良い?
A. 初期費用を抑えたいなら合同会社、外部投資を見込むなら株式会社が一般的です。
Q. 赤字のときは撤退すべき?
A. 法人住民税均等割などの固定費がかかるため、事業計画を再検討し、必要に応じて休眠・解散も視野に入れましょう。
まとめ
法人化は「利益規模」「取引環境」「将来ビジョン」の3つが揃ったタイミングがベスト。
メリットとデメリットを比較し、具体的な手続きステップを理解したうえで、最終判断を行いましょう。